和牛の等級について考える
A5ランクの和牛が美味しいは嘘?
週末になると、スーパーの棚にはA5ランクの美味しそうな和牛が並びます。
ちょっと高いけど、A5のお肉は美味しいから仕方ないね
ちょっと待ってください。
それ本当ですか?
和牛の等級について
そもそも和牛が等級管理されるようになったのは、まがいものがでないように規格化されたのです。
歩留等級
実は歩留等級には3種類あります。
A 72.0以上 | 部分肉歩留が標準より良いもの |
B 69.0以上 72.0未満 | 部分肉歩留が標準のもの |
C 69.0未満 | 部分肉歩留が標準より劣るもの |
AランクもらればBランクもCランクもあるのです。
肉質等級
牛の体から、皮や骨、内臓などを取り去った肉のことを枝肉(えだにく)といいます。
枝肉は第6肋骨と第7肋骨間で切断され、「歩留基準値」が予測された後、
ロースしん(胸最長筋)の切断面の4つの項目に従い、5等級・4等級・3等級・2等級・1等級に区分されます。
・脂肪交雑(霜降り状態)
・肉の色沢
・肉の締まりとキメ
・脂肪の色沢と質
これらが指標として判断されます。
等級は美味しさの指標ではない
上記の等級判断基準は明確ですが、それが美味しさの指標ではありません。
試食して美味しいだとか、成分分析して評価されたわけではないので、
A5だから美味しいだとか、B3だから不味いとか、そういうことではないのです。
勿論美味しいA5肉もあれば、美味しくないA5肉もあるので、タイトルのA5ランクの和牛が
美味しいは嘘?」というのは半分本当で半分嘘ということになります。
美味しさを決めるのは産地なのか?
日本3大和牛といわれる、松坂牛、神戸牛、近江牛(米沢をいれた4大和牛説もあります)なら
美味しいのかというと決してそうではありません。
松坂牛の定義
松坂牛というブランドを付けるには、誕生後12ヶ月以内に松坂で肥育されていること、未経産黒毛和牛であること、個体識別登録されていること、これらが満たされていれば松坂牛と名乗ることができます。
ここでも美味しさの指標はありません。
神戸牛の定義
【第21条】「神戸肉・神戸ビーフ」とは、第20条で定義する「兵庫県産(但馬牛)」のうち、未経産牛・去勢牛であり、枝肉格付等が次の事項に該当するものとする。 尚、神戸肉・神戸ビーフをKOBE BEEF、神戸牛、神戸牛と呼ぶことができる。
〈1〉歩留・肉質等級・「A」「B」4等級以上を対象にする。
〈2〉脂肪交雑・脂肪交雑のBMS値No.6以上とする。〈3〉枝肉重量・雌は、270kg以上から499.9kg以下とする。
・去勢は、300kg以上から499.9kg以下とする。〈4〉その他・枝肉に瑕疵の表示がある場合は、本会が委嘱した畜産荷受会社等(委嘱会員)がこれを確認し、「神戸肉・神戸ビーフ」の判定をする。
※神戸肉流通推進協議会より抜粋
松坂より具体的な定義付けがされています。
がこれも味に関する定義はありません。
近江牛の定義
- 「近江牛」の中でも、枝肉格付がA4、B4等級以上のもの
- 協議会の構成団体の会員が生産したもの
- 滋賀食肉センターまたは東京都立芝浦と畜場でと畜・枝肉格付されたもの
こちらも味の定義はありません。
肉の美味しさを決めるモノ
肉の美味しさを決めるモノは一体何なのでしょう?
以下ポイントを列記しておきます。
子牛の目利き
牛肉の味を決める大きな要素は牛の血統です。
そしてその子牛がどの程度成長して、どんな肉質になるかを見極めるのが目利きです。
経験と才能がもっとも必要な分野です
飼料
どんな飼料を与えるかで肉の味が大きく変わります。
ただ個体を大きくするだけの飼料を与えても、身体は大きくなっても味はよくありません。
霜降りでも美味しくない肉は沢山あります。
脂っぽいだけで肉の味が薄くなります。
肥育環境
狭い環境にぎゅうぎゅうに詰め込まれ肥育されれば、牛もストレスがかかり肉質が硬くなります。
なによりも農家さんの愛情が試される部分もあります。
牛を丁寧に愛情深く育てている農家さんの肉は美味しいです。
愛情深く丁寧に牛を育てている農家さんのお肉
ビジネス優先でない、しっかりとしたポリシーをもって和牛を育てている農家さんお肉を商品化しました。