おいしい和牛の話
A5だから美味しいの?
最近和牛の格付けも一般的に知られてきて、おいしい牛肉イコールA5と信じている人
沢山いると思います。
霜降りで柔らかくって最高!
でも脂っぽくってそんなに食べられない
特に私も中年男性ですが、20代の若いころならいざ知らず、30歳を超えるともう霜降り肉は
ちょっとでいいんです。
そもそも格付けって何?誰が決めてるの?
はい、これは誰かが決めてます。そしてちゃんとした機関が決めてます。
公益社団法人日本食肉格付け協会(JMGA)が決めてます。
その役割は、「枝肉流通の物差しとして、生産者と購買者との間で枝肉の品質を客観的(枝肉取引規格に基づき)に評価判定し、公正な取引を確保すること。」とされています。
※枝肉とは牛の屠畜後内臓を除去し、縦(頭から尾にかけて)2分割したものをいいます。
実はA以外も格付けがある
私も最初に聞いたときはびっくりしました。
実は格付けとしてA・B・Cのランクがあります。
格付け協会の定義はこうあります。
A部分肉歩留が標準より良いもの 歩留基準値72%
B部分肉歩留が標準のもの 歩留基準値69以上72%未満
C部分肉歩留が標準より劣るもの 歩留基準値69%未満
歩留(ぶどまり)は生産用語です。どれくらいのロスが発生するかを表す言葉です。
歩留80%というと20%のロスが発生するということ。
ここでいう歩留は可食部ということです。
脂肪がつきすぎると可食部が少なくなり、等級が下がります。
等級の数字の意味は?
出展 公益社団法人日本食肉格付け協会
等級 | 脂肪交雑 | 肉の色沢 | 肉の締まり及びきめ | 脂肪の色沢と質 |
5 | 胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑がかなり多いもの | 肉色及び光沢がかなり良いもの | 締まりはかなり良く、きめがかなり細かいもの | 脂肪の色、光沢及び質がかなり良いもの |
4 | 胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑がやや多いもの | 肉色及び光沢がやや良いもの | 締まりはやや良く、きめがやや細かいもの | 脂肪の色、光沢及び質がやや良いもの |
3 | 胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑が標準のもの | 肉色及び光沢が標準のもの | 締まり及びきめが標準のもの | 脂肪の色、光沢及び質が標準のもの |
2 | 胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑がやや少ないもの | 肉色及び光沢が標準に準ずるもの | 締まり及びきめが標準に準ずるもの | 脂肪の色、光沢及び質が標準に準ずるもの |
1 | 胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑がほとんどないもの | 肉色及び光沢が劣るもの | 締まりが劣り又はきめが粗いもの | 脂肪の色、光沢及び質が劣るもの |
改めてA5の牛肉は美味しいの?
格付けの基準を紹介しましたが、さてどこかに味に関する基準値はあったでしょうか?
答えは「ない」です。
どこにも味に関する記載はありません。
牛肉の美味しさは何が決めるの?
牛肉の味はその牛がどのような血統で、どのような環境で育ち、どんな飼料を食べて育ってきたか
で決まります。
そこが畜産農家のノウハウであり、腕が試される部分です。
本物の黒毛和牛を育てている農家
岩手県に知る人ぞ知るブランド和牛がいます。
「門崎丑」
「かんざきうし」といいます。
雄大な自然の中で生き生きと育つ牛達ち
美味しさの決め手は目利きと飼料
いわて門崎丑牧場の代表千葉正奈氏は、日本屈指の子牛の目利きと言われています。
子牛のセリで、子牛を見た瞬間にどんな牛に育つかがイメージでき、美味しい牛になるかどうかが
分かってしまいます。
私も以前子牛のセリに同席させてもらいましたが、その眼力には舌を巻きました。
千葉代表の目利きで仕入れられた子牛は、時間をかけゆっくりと肥育されます。
他の大手牧場では、短期間で成長させ販売することで利益を上げています。
何故いわて門崎丑牧場ではそれをやらないのか?
人間が食べる牛肉は健康な牛の肉であるべき
和牛というと霜降り肉の綺麗な見た目と高級さで、美味しいものというイメージがあります。
そもそも霜降り肉ってどう作るのか?というと過度な栄養素が含まれる飼料を食べさせて偏った
栄養状態に牛を置くことでできるのです。
霜降り(サシ)を多く入れるためには、牛をビタミンA欠乏状態にしなくてはいけません。
過度なビタミン欠乏状態の牛の多くは失明寸前であったり、高脂血症のため出荷のタイミングを
誤ると死亡してしまう恐れもあります。
お肉は私たち人間の貴重なたんぱく源であり、貴重な命を頂いて私たちは幸せな生活を実現しています。
しかし、私たちの健康を考えたとき果たして、本当にそれでいいのか?
そう考えた千葉代表は別のやり方で牛を育てることにしました。
独自の配合飼料の開発
多くの和牛はアメリカを中心とした、とうもろこしをベースとした配合飼料で肥育されいています。
洋食中心の食生活をする我々のようです。
しかし、そのお陰で肥満や成人病が大きな社会問題になっています。
過度な栄養と、日本人の身体や風土に合った食事をしなくなったためです。
いわて門崎丑牧場では、国産にこだわった飼料を開発し牛に与えています。
主には牧草や穀物、ビールの絞りかすなどを混合して牛に与えています。
牛は本来牧草を食べて育つものですが、それだけでは足りない栄養素もあります。
美味しい牛肉にするために、必要な栄養素を含む配合飼料でナチュラルで、健康な牛の
肉を生産しているのです。
お肉が甘い
お肉を食べるとき、塩・胡椒やタレなどをかけますよね。
そうしないと味がしないからです。
いわて門崎丑牧場の牛肉を一度食べてみてください。
びっくりしますよ!!
何も味付けしなくても美味しいのです。
「お肉が甘い!」
衝撃でした
初めて食べる極上の赤身肉でした。
霜降りにこだわらないから沢山食べれる
冒頭でも言いましたが、私などは霜降りはちょっとしか食べれません。
そして高齢者はもっと食べれないでしょう。
高齢者はたんぱく質不足に陥っています。
健康な筋肉・骨には良質なたんぱく質が必要です。
でも胃もたれして、肉は食べれない・・・・
心配いりません、ここのお肉なら食べれます。
実際に私の両親70代後半でも、美味しいといって沢山食べてくれます。
親孝行にもなりますよ!